2012年4月10日火曜日

国や企業の失敗に学ぶ町づくりを!③

☆今後は地域経済のマネージメントもできるリーダーが必要

これから川西町などに限らず地方では人口が縮小していくことは避けられず、そうなれば地域の業態が変わってきます。

そのときたとえば「六次産業化」を目指すのであれば、自治体にも営利と非営利の境を超えていく自分たちの論理をもつことが求められます。

つまり企業経営も分かる人が自治体のリーダーにならないとやっていけない時代がきます。

いままでは地域のことだけわかっていればそれでリーダーがつとまりました。

しかしこれからは企業経営も理解できて地域経済のこともきちんとマネージメントできるリーダーが出てこないと次の時代を開いていけないでしょう。

ですから次代のリーダー選びも、周囲が「いい人だから」といって薦すとか、本人が「とにかく地域に仕事をつくらなくては」と意気込んで出るとかいうのではうまくいかない。

みなが知恵を出し合い時間をかけて次代のリーダーを育てていかないといけないと思います。

☆第3者委員会のイメージとは

たとえばいまヨーロッパではギリシャに端を発した問題がいろいろな国に飛び火し、日本でもいろんなひとが心配していますが、欧米での大方の見方では深刻な状態はそれほど長く続かないだろうといわれています。

その理由は、まずドイツとフランスを中心にしっかりコントロールがきいているから大丈夫ということのようです。

それぞれの政府を日本の政府と同じように見てしまうから日本では必要以上に心配してしまいますが、ドイツもフランスも国の内部にきちんとガバナンスをチェックできる専門家の装置をもっています。

これはいまの日本にはありません。

彼らの中にはきちんとバランサーが内蔵されているから、今後選挙でどの政党が勝とうが関係ありません。

またどちらの国も連邦制を敷いていて地方と中央の関係をきっちりもっていて、その拡大版としてEUがあるわけです。

つまり従来の政党や政治の枠組みとは別の立ち位置でしっかり自治体のガバナンスをチェックできる装置――それが第3者委員会のイメージです。

☆国や企業の失敗から学ぶ

いま日本の政府や企業が窮地にたたされているのは、こうしたガバナンスのチェック機能が欠如しているからだと考えられます。

また世界に通用する確固たる倫理――つまりコンプライアンスですね、これが欠如していことも失敗の原因といえるでしょう。

こうした失敗から私たちも自由ではありません。

私たちも川西町の未来を考えるときには、コンプライアンスとガバナンスを常に意識しつつ、国や企業がこれまで犯してきた失敗に謙虚に学びたいものです。(完)

2012年4月9日月曜日

国や企業の失敗に学ぶ町づくりを!②

☆コンプライアンスとガバナンス

コンプライアンスは企業を考える際の用語で、ガバナンスは経済学の中から出てきて、本来は行政の用語だったはずですが、今は経済とか市民社会を考えるときに使われるようになってきています。

コンプライアンスは「法令遵守」というふうに訳されることも多いのですが、それでは「法律守っていれば何してもいいのか」という議論になってしまいます。

そこで国際社会では今やコンプライアンスという言葉は「倫理」「哲学」「文化」とか、そういう抽象的な概念まで示す言葉になってきています。

またガバナンスとは何らかの組織について多様な主体がその意志決定と行動をコントロールすることといっていいでしょうつまりいままでのように一人の経営者が独善的な経営を行うという行き方はガバナンスのニュアンスとは逆の方向を向いているように思います

☆「二〇年後の川西町」という診断書を


このように言うと難しく聞こえますが、たとえば大王製紙の問題やオリンパスの問題を消費者や市民の立場からどう評価するのか。それができていれば、コンプライアンスとガバナンスの問題もそれほど難しくありません。

これらの問題は地域で日々起きていることの拡大版にすぎないからです。

要点はこうした問題を解決するためには、自分たちの内部で議論していてはだめで、会社であれば監査法人も機能しないことがわかってきたということです。

国も総務省が政策評価委員会と独立行政法人評価委員会をつくり、第3者に政府の政策評価と独立行政法人の評価を委ねています。

つまり国も企業も今や自分自身の診断を自分でやる時代ではなくなったということなのです。

ですから川西町でも第3者委員会をつくって行政評価をやってもらいましょう。

もう川西町のような自治体が自分自身の診断――行政評価を自分でやっている時代ではないのです。

そして「二〇年後の川西町」というような診断書を書いてもらい、それに沿って、教育なら教育、福祉なら福祉、農政なら農政というようにさらに細かい評価基準をつくっていく。

それが必要な時期にきています。

☆シミュレーションを第3者委員会に委託する仕組みを

町の人口が先細りになっていく中で、町の財政のバランスシートだけ見ているとただただ縮小していくだけのように見えます.

けれども農協や各農家のバランスシートとくっつけてみることができれば、そこには時間差が生まれることがわかります。

それがわかれば、どういう順番で何がおきてくるかは大方予想できるでしょう。

こうしたシミュレーションを第三者委員会に委託する仕組みをつくり、問題に直面する前に方策を積み重ねていくことが大切なのではないでしょうか。

その上で、役場のこの部分は民間に委託するとか、あるいはこの部分は残すとか判断し、町民全体の合意を形成していけばいいのです。(続く)

2012年4月7日土曜日

国や企業の失敗に学ぶ町づくりを!①

☆東日本大震災から1年

東日本大震災から一年がすぎました。

川西町の被害は幸い軽微でしたが、私も川西町長として、川西町に避難してこられた方々の受け入れや支援、さらには岩手県・大槌町への職員派遣などを通じて、その被害の甚大さを肌で感じてきました。

3月11日にはこのブログで紹介したように岩手県・大槌町で行われた東日本大震災の犠牲者の慰霊祭に出席し、霊前に今後も被害に遭われた方々への支援を長期にわたって継続すると誓いました。

東日本大震災後の1年を振り返ってみますと、あの震災からどう日本を復興させ、地域をどう再建していくかを議論する過程で、いろんな価値観が激突し、さまざまな問題が今までとは違った角度で問われるようになってきたと感じます。

☆国と地方、公と民間の境が曖昧になってきた

まず国と地方、公(おおやけ)と民間の境が曖昧になってきました。

いままでは国の役割と地方の役割、公の役割と民間の役割が明確にわかれており、それを前提に日本という国が成り立ってきました。

ところが最近ではその境目が曖昧になってきているように見えます。

そのため町レベルの問題を解決しようとする際にも、日本全体を俯瞰した構想をもっていないと解決できなくなりつつあるという意見が識者の間からも出てきています。

☆企業の不祥事と第3者委員会

ところでこの一年の間に経済界では、おおきな不祥事が続きました。

たとえば大王製紙の役員による資金の不正流用問題、あるいはオリンパスによる長期にわたる粉飾決算問題などです。

こうした不祥事が起きると従来は社内に設置した内部監査制度や監査法人が問題の解決に当たることが多かったのですが、最近では「第3者委員会」を設置する例が増えていると言います。

どういうことかと言うと、企業内部の自浄作用だけでは問題が解決できないだけでなく、問題の部分を洗い出すこともできない企業が多くなりつつあるということです。

その背景には国際化によって企業に求められる倫理と、日本のそれぞれの企業が今までもってきた固有の論理や文化があまりにも乖離してしまったという問題があるようです。

いままでのようにワンマン経営者が独善的な企業経営を行うようなことは難しくなってきたのです。

そこで社外の専門家――公認会計士や弁護士、学識経験者――からなる第3者委員会に問題点の分析と解決策を委ねる例が増えてきたということです。

その際のキーワードとなるのが、ちょっと難しくなりますが、コンプライアンスとガバナンスです。(続く)

2012年4月3日火曜日

川西町出身の大滝則忠さんが国会図書館長に!

先週のブログで玉庭地区のひなめぐりのニュースをお伝えしましたが、

その玉庭地区にまつわるビッグニュースが4月1日に飛び込んできました。

わが川西町の玉庭地区出身の大滝則忠さんが国会図書館長に就任されたのです。

大滝さんは現在、東京農大の教授もされていますが、ずっと国会図書館でキャリアをつまれてきた方です。

毎日新聞は「国会図書館長にたたき上げの職員出身者が就くのは初めて」と伝えています。

玉庭地区は愛知大学の創立者である本間喜一さんを生んだ場所でもあります。